もっと早く逢えていれば良かった
昴から懐中時計を受け取る。



「ありがと……」


長い廊下を黙々と進む。
もう外は真っ暗だった。


すぐに車に乗って病院に向かう。


向かう途中にお父さんが乗っている車とすれ違った。


だけど気付いたのはあたしだけでお父さんは気付かなかった。




「そう…だよね、あたしなんて……要らなか…ったんだから……」



誰にも聞こえないくらいの小さい声で言う。
まだ声が掠れてる。


家を継ぐことが出来ないからどうでも良いんだ。
今までは1人で生きてきたって感じだけど。


今は昴がいるから。



大丈夫、もう1人じゃない。


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