首を吊った彼は、干からびたヘチマでした
彼は私にしか胸の内を話さない。あるのは全て、努力しても報われない現実に向けての慟哭にすぎないが、私にそれを叫んだところで彼は何を期待しているのだろうか。
私は彼だ。出版経験ない物書きで、書いている年数も作品数も同じ。対等となるべき存在にしても、私はいつも、こうして彼に会う度にその苦悶を黙って聞き遂げた。
私は偉いわけでもないし、物書きとして技術があるわけでもない。彼に対して、達観した姿勢などできないが、ああして絶叫する彼を、私はひどく冷めた思考で捉えていた。
侮蔑しているわけではない、哀れむつもりもない、ただの他人事と思いはすれど、彼の嘆きは身に染みる。