少年と僕と少女たち

僕

緊張する。
親の都合で僕は転校してきた。元々人と関わるのが苦手な僕は転校などは不安の塊だ。
担任と思われる中年のおっさんに指定された場所、というか教室の前で呼ばれるのを待つ。
しばらくしてカララ…とドアが開き呼ばれた。
教室に足を踏み入れると独特の張りつめた空気と視線が僕を包むと同時に小さく”あっ”という声が耳に飛び込んできた。
声の主に視線をやると目がバッチリ合ってしまった。一瞬息が止まる。そして無意識に顔を逸らしてしまった。
バクバクと心臓、いや全身に鼓動が走る。
なんて綺麗な人なんだろう。貧弱でよく女の子と間違われる僕とは真反対の容姿を持った青年。眉が隠れるか隠れないかぐらいで横に流すように切られた爽やかな前髪に健康的な色の肌。身長も高そうだ。