風に声を乗せて
入学の桜
おじさんと出会ったのは、どんよりと重い雲が広がる、湿った春の日だった。
その日は私の高校の入学式で、せっかくの入学式なのにと、ひどく落ち込んでいた。
でも、あの日があったから。
湿っぽくて、入学式なのに浮かれていなかったから。
おじさんと出会えて、関わることができた。

出会った日の事を、私はずっと、忘れない。
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