Purewhite Devil
目を瞑り耳を澄ませ、私はピアノの音に聞き惚れていた。


曲名は出てきそうで出てこない。


だけど聴いた事のあるメロディーだった。



「いッッたぁーいッッ」



気持ちよく聴いていた時におでこに衝撃が走り、私は思わず声をあげてしまった。


いつの間にかメロディーに合わせて頭を動かしていたらしく、扉におでこをぶつけてしまったらしい。


おでこを手で擦っていてあることに気付いた。


――ピアノの音が聴こえない。


恐る恐る音楽室を覗くと、手の動かすのを止めた泉堂君がこっちを見ていた。


ヤバい――。


走って逃げる!?


それじゃ感じ悪い!?


泉堂君の鋭く刺すような視線に怯んでしまいそうだったが、私は意を決して扉を開け中に足を踏み入れた。



「ご、ごめんッッ!!ピアノの音がしたから、あの、その――盗み聞きするつもりはなかったんだけど――と、とにかくごめんッッ!!」



バチンと顔の前で手を合わせ、目をギュッと瞑って私なりに精一杯謝った。






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