Purewhite Devil
気が付くと、伸ばした手の先にはガラスに映る自分の姿があった。


慌てて周りを見渡した。


今私が居る場所は見慣れた馴染みの場所だった。


ここ、マンションのエントランスだ――。


外は外灯の明かりがついていて薄暗い。


それでもさっきまでの暗闇に比べれば明るくてホッとした。


本当に薫君は死ぬの?


何で――?


そんなのッッ嫌――ッッ。


薫君の事が好きだから、望先輩をこれ以上傷付ける前に離れろって事なの?


須藤さんも薫君の事が好きだから気を付けろって事なの?


理由も分からないのに貴女の言葉に耳を貸せっていうの?


そんなの無理だよッッ。



「ねぇ教えてよ――ッッ」



暗闇で出会った彼女は現れる事はなく、私の問い掛けはエントランスに響いただけだった。


行き場を失ったたくさんの疑問が身体中を駆け巡る。


漠然とする恐怖や不安の渦に呑み込まれてしまいそうだった。





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