Purewhite Devil
『須藤とか言う女とは別に何の関係もねぇよ』



望んでいた言葉。


嬉しい筈の言葉。


だけど目に見えない言葉を信じる事は難しくて、大好きな彼の言葉なのに私はまた傷つく事が怖くてその言葉を拒否した。



「――いいのに、嘘なんかつかなくても」



不可思議な出来事で分からないことがあっても、変に諦めが付いた。


でも今は違う。



「須藤さんとキスしてるところ、見ちゃったんだよね――」



そう、見てしまった。


好きだからキスしたんじゃないの?


それなのに私をお母さんの入院している病院に連れて行くなんて、おかしいよ。


大切な人なんて――変だよ――――。


薫君の大きなため息。


そのため息をどう捉えていいのか分からない私は、俯きギュッと力の篭った自分の握り拳を見つめていた。


テーブルを挟んですぐ先には薫君の気配を感じる。


この雰囲気のせいなのか、その気配は重く不機嫌なものに感じられた。






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