Purewhite Devil
アスモデウスさんはスッと立ち上がると静かに歩み寄ってきた。


そして膝を着くと私に手を差しのべた。


この手を握ったら、私はどうなるんだろう。



「どうして、私を迎えに来たんですか?」

『私はルシファー様の命に従っただけだよ』



また“ルシファー様”だ――。


天使だとか悪魔だとか私にはよく分からない。


だけど、ルシファー様と呼ばれる悪魔は偉い立場の悪魔なんだろうと思った。


天使や悪魔にも位の様なものがあるのかもしれない。



「どうして、みんな私に近付くんですか?誰も何も説明してくれない――言いたい事だけ言って何処かに行ってしまうんです」



彼に何故こんな事を言ってしまったんだろう。


黒い翼が気にならないくらい、優しい雰囲気を持っているからかもしれない。



『ルシファー様にお伺いするといい。あのお方なら、包み隠さずにお話して下さるだろう』



その言葉に誘われるように手を握ると、体がフワッと浮かび上がった。


彼は私を軽々と持ち上げ、窓枠に足を掛けると、黒い翼を羽ばたかせ星の輝く空へと舞い上がった。






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