Purewhite Devil
『流石だとしか言いようがないな』



何がそんなに楽しいの?


楽しい事なんてこの場には何一つない。



『ヴォラクからだけではなく、ガブリエルからも忠告を受けておきながらお前は知らぬふりをしたのか』



出会ってまだそう時間は経っていないというのに、もう何度この嫌味な笑みを向けられただろうか。



「――須藤さんは何者なの?」

『お前と似たようなものだ』

「似たようなもの?」



間近にいるルシファーは私の髪の毛を一束掴み上げた。


ご機嫌な顔を浮かべながら。



『お前の中のガブリエルの核を呼び覚ます事ができるのは同じ天使だけだ。それができるのはガブリエルと同等、もしくはそれ以上の力を持つ天使だけだかな』



えっ――?


ルシファーが彼女と接触してたって事は――。



「須藤さんの中には悪魔がいるって事?」

『いいぞ女、なかなか察しがいいではないか』



喉を鳴らしながら肩を震わせているルシファー。


冷たいオーラだけを纏っていた時は体が震える程恐ろしかったが、今の不気味な程機嫌がいい彼を見ていると何故だか何とも言えない不安が胸に広がっていく。






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