Purewhite Devil
「このままだと須藤さんも身体をのっとられちゃうの?」

『そういう事になるだろう』

「貴方が近付かなければ須藤さんは助かるんでしょ?だったらもう近付かないであげて――お願いだから――」



こんな苦しい想いをするのは私だけで十分。


須藤さんの中にいる悪魔が良い悪魔ならいい。


だけどそうじゃなかったら、彼女はきっと私以上に辛い想いをしているかもしれない。



『それは契約外だ。お前の言葉を聞き入れてやる義理はない』



迷いのない言葉。


周りの人がどうなろうと自分にはきっと関係がないんだ。


この人は痛みや悲しみ、恐怖などの感情を知らないのかもしれない。


私がどれだけ考えようと、ルシファーを理解する事は出来ないような気がする。


ルシファーの冷たい指先が顎に触れ、私は彼を見上げた。


感情の込もっていない瞳は闇を感じさせながらも、くすんでいない。


不思議な瞳。






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