Purewhite Devil
言葉に困っていると、やっと目の前に駅が見えてきた。



「駅ここですよ」

『ありがとう。乃愛ちゃんが一緒にいてくれなかったらたどり着けなかったよ』



そんな事はないと思う。


伊集院先輩に声を掛けられれば、どんな女性も喜んで案内するだろう。



「伊集院先輩は一番ホームの電車ですね。私は三番ホームなんでここで失礼します」



頭を下げホームへ上がる階段に向かおうとしたら、伊集院先輩に腕を掴まれ驚いた。



『せっかくだから連絡先交換しない?まだこっちに友達がいないから不安だったんだ。良かったら友達になってくれないかな?』



そんな切ない顔でそんな事言われたら断るに断れないじゃん!!


この人絶対確信犯だ。



「――いいですよ」

『ありがとう』



私の言葉にパッと顔を明るくさせた彼と連絡先を交換し、私たちは今度こそお別れをした。


悪い人じゃないけど、なんか疲れた。






< 22 / 343 >

この作品をシェア

pagetop