Purewhite Devil
上空の風が神殿の中に吹き込んできて、風に包まれた神殿の中にいい香りが舞った。


ーー花の香り?



「あーーッッ!!」



少しくしゃっとなった花束を見て、ここに来た目的を思い出した。


お花を供える為に来たんだった。


私の個人的な目的は違うけど、花束はちゃんと置いてこないと。


ガブリエルが早く目覚めるようにと皆が毎日供えているお花。


だけどその想いは届かない。


私がガブリエルの核をルシファーに渡すから。


やっぱり申し訳ない気持ちは拭えない。


それでも私はもう謝らない。


だって私にだって心があって、望みがあるから。


立ち上がり部屋の中を見渡すと、入ってきた扉とは違う扉を見付けた。


あの扉の奥かもしれないしそうじゃないかもしれない。


それでもこの神殿の何処かにガブリエルが眠ってる。


ガブリエル、私の声ももう届かないかもしれない。


今貴女がどんな心境でいるのかも私には分からない。


でも私は私の為に成し遂げさせてもらうから。





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