Purewhite Devil
扉を抜けるとやっぱりそこにも真っ白な空間が広がっていた。


天井から吊るされたレースのベール。


澄んだ空気に溶け込んでいる柔らかな花の香り。


レースのベールの中に続いている階段。


階段を避けるように、ベールの周りに花が置かれている。


石盤の上を歩く度に足音が響き渡る。


床に膝をついて花束を置いた。


皆目をつぶって、手を合わせてお祈りするんだろうなーー。


そう思いながらも私は立ち上がり階段に足をのせた。


緊張しているのか呼吸が浅くなる。


階段を上り終え、ベールが重なっているところに手を掛けた。


震えてる手を見て思わず渇いた笑が零れた。


こんなところまで来て相変わらず情けない。


ベールをギュッと握り、一気に開けた。


大きな円の中には透き通った水が入っていて、中央にはベッドが浮いていた。


そのベッドに目をつぶって横たわる女性。



「ガブリエルーー」



長く艶やかな髪の毛はとても不思議な色をしていた。


アクアマリンの様にも見え、光の角度によってはエメラルドグリーンにも見える。


ミカエルさんだけじゃなくて、天使たちが虜になる気持ちも頷ける。





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