Purewhite Devil
ガブリエルは泉堂 薫に歩み寄った。


その動作は目を見張る程優雅だった。



「貴方は母親を生き返らせる為一度死んだのよ」

『一度？』

「そうよ。だけど、そんな貴方をノアはどうしても生き返らせたかった」

『今、乃愛って言わなかったか！？』

「えぇ、言ったわ」



泉堂 薫は頭をかき、ガブリエルに詰め寄った。


酷く混乱している。



『乃愛は！？乃愛はどこだよッッ！！』

『女なら上にいる』



ルシファーの視線の先を見た泉堂 薫は慌てて階段を駆け上った。


何度も足を踏み外しそうになりながら。


一番上にたどり着いた泉堂 薫はベッドによこたわる乃愛の姿を見て、愕然と膝をついた。



『どう、なってんだよッッ！？乃愛はっ乃愛は生きてんだろう！？』

『今はな』

『ッッ！？どういう意味だよッッ！？』



床に拳を打ち付け泉堂 薫は怒鳴り散らした。


泉堂 薫は肩を震わせながら涙を零した。


それでももう乃愛は目を覚まさない。


終わりの時が近付いているのかもしれない。



「ノアの魂は間も無く燃え尽きるわ」



ガブリエルの穏やかだが残酷にも聞こえる言葉が、水の神殿の中に響き渡った。





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