Purewhite Devil
優樹菜は盛大なため息を吐くと、今までにないくらい真剣な顔をして真っ直ぐと私の顔を捉えた。


その真剣な眼差しに落ち着かない気持ちになり、反らしてしまいたかった。


私の気持ちを知ってか知らずか、優樹菜は目を細めて柔らかく微笑んだ。



「伊集院先輩にさ、話せる範囲でいいから話してみたら?」

「え――?」

「どういう人なのか今一よく分かんないけど、受け止めてくれそうじゃん?それに乃愛の事大好きだしさ」



受け止めてくれる――。


私のこの苦しい想いや醜い心を?



「でも――」

「でもじゃない!!」



優樹菜はわざとらしく頬を膨らませ、口を尖らせたまま私のお弁当箱を片付け始めた。



「よしっ!!はいっ立ってっっ!!」

「う、うんッッ」



腕を引っ張られ強引に立たされると、私の手を握ったまま優樹菜が走り出した。



「どうするかは伊集院先輩の顔見て決めなよっ。それでも気分がのらなかったら次の作戦考えようっ!!」



作戦って――。


優樹菜の後ろ姿を見ていると自然と口元が綻ぶようだった。


優樹菜のこの明るさと思い遣りに、私の心は少なからず救われてるよ。






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