Purewhite Devil
三年のフロアではやっぱり悪目立ちしていて、落ち着かなかった。


優樹菜は慣れているからか、周りの視線なんてお構いなしにどんどん足を進めていく。


私はもう帰りたい――。


ある教室の前で足を止めた優樹菜は、教室の中を覗くと可愛い笑顔を見せながら誰かに手を振り始めた。


そんな顔をする相手は一人しかいない。



『俺に会いたくなって来ちゃった感じ?』



相変わらず軽い人だ。



「それもあるけどぉ、とりあえず伊集院先輩呼んでくれない?」

『あぁ、そう言う事。おいっ伊集院!!』



徹先輩は私の方に目線を向けると、納得した顔をして女子の群れに向かって声をかけた。


あの中にいるんだろう。


いつもあんな状態なのかな。


だとしたら気の毒としかいいようがない。


女子の群れから離れ、こっちに向かって歩いてくる伊集院先輩。


私は思わず顔を俯かせた。



『どうしたの?』

『乃愛がお前に用事だとよ』

『乃愛ちゃん?』



名前を呼ばれても中々顔が上げられなかった。






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