Purewhite Devil
今日何度目かの優樹菜のため息が聞こえた。


だって――なんか恥ずかしい――。


優樹菜にいきなり顎を掴まれ、グイッと上を向かされた。


目の前の伊集院先輩とバチッと目が合い、彼は悲しそうな顔になった。



『何かあったの?』

「ッッな、にもない――です」



唇を噛み締め視線を落とした。


なんて言えばいいのか分からなかった。


言葉が全く思い浮かばなかった。



『次の授業サボるから先生には上手く言っといてくれない?』

『あぁ、分かった』



それって――。



『行こう、乃愛ちゃん』



顔を上げた私に柔らかい笑みを見せる伊集院先輩。



「でも、授業――」

『今は乃愛ちゃんの方が大事』



そう言うと、伊集院先輩は私の手をやんわりと握り歩き始めた。


伊集院先輩の優しさに触れ、もう泣いてしまいそうだった。






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