Purewhite Devil
スラッとした長い指が頬に触れ、繊細な手が添えられた。


見上げた先には眩しい程神々しい笑みの望先輩の顔。


そんな彼の綺麗な微笑みに、どんな笑顔を返せばいいのか分からなくなる時がある。


私が目を瞑ると、それが合図のように柔らかい感触が唇に落ちてくる。


落ちてきた瞬間、また頭の中にイメージが浮かぶ。


いつも神秘的で穏やかな光景だったのに今回は違った。


真っ赤な火がそこら中に燃え広がり、至るところで煙が上がっている。


建物は崩壊し、叫び声の様なものが聞こえてきそうだった。



『また明日』

「はい」



そう言って、私たちは笑顔で別れた。


望先輩とキスをしている時や抱きしめられている時、何故だか頭の中にイメージが流れる。


最近はおかしな事ばかり。


だけど、もうそんな状況を少しだけ諦めている自分がいる――。






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