龍と虎
【杏奈】



「杏奈、俺と付き合え!!」

「命令すんな!!」

「じゃあ、俺と付き合ってください。」

「はい♪」



マジメな顔の龍はカッコイイ。



「マジか!!」

「うん♪」

「夢じゃねぇ!?」

「現実だよ?」

「すげぇすげぇ!!杏奈!!すげぇな♪」



あたしは痛々しい龍の顔に触れる。



「痛そう…。」

「痛いっス♪」



龍の頬に触れると、笑った龍の顔が近づいて来て、どちらともく唇を合わせた。



唇を離すと、少し顔が赤い龍があたしを見つめてた。



「手当しなきゃ…。」

「もう1回キスしたら治る。」



そう言って龍は優しいキスをしてくれた。



龍っぽくない。



優しすぎるキス。



龍との初めてのキスは、龍の香水の匂いと、あたしを守って流した血の匂いがした。



< 73 / 210 >

この作品をシェア

pagetop