生ける屍となって
ふわりと香ったその香りは昨日のお兄さんとは、異なるものだった。
「ここはどこ?」
「俺たちの家。
昨日アベルが倒れてる君を連れてきたんだ。」
アベル?昨日のお兄さんのことかな?
昨日のお兄さんのお家なのかしら。
倒れたということは昨日の不思議な体験は本当だったってこと?
「その・・・アベルさんは?」
クスリ
「ああ、
アベルなら上の部屋で罪悪感に打ちひしがれてるから、近寄らないほうがいいよ。」
罪悪感?
何か悪いことしたのかしら。
幼い私には分からなかった。