生ける屍となって
私は彼の名前を知らないのに気づきパンを飲み込んでから尋ねた。
「俺?
アランだ。アラン・スピアーズ。」
「アラン。」
覚えるために復唱した。
「そうだよ。
さあ、朝食を食べて。
それからゆっくり寝ること。
大丈夫。家にちゃんと送り届けてあげるから。」
その言葉を聞いて、私はホッとした。
パパやママはきっと今頃ものすごい心配してるんだろうな。
「ご家族に連絡取れるといいんだけど、
連絡先なんてわからないよね?」
私はフルフルと首を横に振った。
それから彼は用事があると言って、部屋から出て行った。
私はアベルのことが気になった。
助けてもらったのにお礼を言ってない。
それに何だかとっても彼に会いたい。
彼がとても気になる。