生ける屍となって
首に傷?
特に痛くないし、触っても何も無い。
倒れる前から記憶も曖昧であまり覚えていない。
「大丈夫よ。」
「そう。
やっぱり俺は君には二度と会えそうにないな。」
ドクン
幼いけど私は、この胸のうずきの正体を知っている。
まだ会って間もないが、はっきりと言える。
私、彼が好きなんだ。
一目惚れなのかな。
彼が気になる。
彼ともっと話したい。
「何故?
そんなのやだ。絶対やだ。」
「駄目なんだ。
そうでないと君が危険なんだ。
君が居なくなったら俺の生きる意味は消え失せる。
そんなの俺だって耐えられないし、君はまだ死にたくないだろう。
だから、俺たちは離れるべきなのだ。」
彼のいうことは
幼い私にはまだよく分からなかった。
会ったばかりの私のことを
何故だかとても大切に思っていると言うことすら
分かっていなかった。
ただ1つ分かるのは
二度と彼に会えないということ。