生ける屍となって
私の目からは涙が零れ落ちる。
もう二度とこの人に会えない。
儚く散る初恋なのだろうか。
アベルは私を抱き上げ、涙を細く長い指で拭い、ドアへと向かった。
踊り場に出るとそこにはアランが居た。
「頼むよ。」
そう言ってアベルは私をアランにあずけた。
私はアランに抱きついて泣いた。
アランは何も言わずに階段を下りた。
アベルはその様子を
泣きそうになりながら見ていたことに私は気づくはずがなかった。