生ける屍となって
彼は意味が分からんと言うような顔だった。
確かに自分もついこの間までそうだったのだ。
運命の人間なんか殺してしまえば良い。
そう思っていた。
しかし、この気持ちはそう簡単なものではなかった。
愛というものが存在するからだ。
こんなに純粋に人間のように愛するのは俺だけかも知れない。
大抵は、この素晴らしい気分をずっと味わいたいために生かしておくらしい。
でも、俺は違う。
まだ彼女は幼い子どもだが、
これは愛である以外の何者でもない。
「ああ、ああ、分かったよ。
仰せの通りにプリンス。」
彼は呆れて部屋を出て行った。
彼女が生きてさえいれば、俺は生きていける。