生ける屍となって
「君は…迷子?」
「ぅん。ここはどこ?
暗くて怖いよ。」
「大丈夫。お家まで連れてってあげるよ。
涙を拭いて。」
握った手を引っ張られ、私は大きな体に包まれて涙を拭われた。
とても甘美な香りがする彼の体は、硬くとても冷たかった。
何より彼は薄いシャツ一枚だった。
「お兄さん、寒くないの?」
クスリ
美しい顔がふわりとやわらかく微笑んだ。
「大丈夫だよ。」
絶対嘘だ。
この寒さで寒くないわけがない。
「お兄さん誰?」
私は彼の顔をよく見ようとした。
しかし
「うっ・・・
く・・・。」
突然、お兄さんは唸り始めた。