2.5股

「もうやめて!」

 彼はピタッと止まった。

「あ、ごめん。つい……」

 あたしは過呼吸になりかかった息を気合いで整えた。
 男の性欲なんて、こんなもんよ。女なら誰にだってポンポン勃つんだから!
 今回のは不慮の事故よ。そう、フリョノジコ!
 落ち着け、あたし!!

 頭の片隅で何気に冷静な脳細胞が、ふとあたしに話しかけた。
 彼があの女とシちゃったこの話、ホテル『四~五回目』って言ってた。
 じゃあ、あたしが目撃したのは何回目?
 その間は?
 当然、何もないよね?

「いや、……行くと必ずやっちゃってるんだ。やると追加でバイト代くれるから。あ、でもまだ十回くらいかな」

 ちょっ、なにそれ!?

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