モノクロ*メランコリック


けれど、シロは「やだ」なんて言ってきた。

ま、また…『やだ』?


二度目の拒否に困っていると、シロは「また逃げるだろ」とイラついたような声を出した。

「に…逃げないわよ」

さすがにこんな状況になって、逃げようとは思わないわ。

けれど…気持ちは、いつまで経っても逃げ腰で。


シロは強い声で、「あと」と言った。

その声に、顔を上げる。

彼は、真剣な瞳で私を見ていた。



「…ホットケーキ。柳田さんには、作ってないよ」



…え。

私が驚いた顔をすると、シロは『やっぱり』という顔でため息をついた。

「勘違いしてるんだろうなと思ったから説明したかったのに、美愛子、さっさと帰るし」

「え…あ、ご、ごめん…」

帰り際、あんなに私のことを引き止めてたのは、そういうことだったのね。

私ったら余裕がなくて、早足で帰っちゃったけど……


「で…でも柳田さんに、『ホットケーキ食べたい』って言われたんでしょう?どうして作ってあげなかったの」


シロは優しいから、きっと作ってあげるはず。

そう思って見上げ続けていると、シロは一層顔を近づけてきた。



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