モノクロ*メランコリック


「…し、シロ…!?」

「あのさぁ」

私の腰を掴んで、ぐい、と引き寄せてくる。

こつんと額を合わせて、シロは不機嫌な顔をした。


「美愛子は、俺のホットケーキが他の女子に食べられるの、嫌なんでしょ?」

「う…うん」

彼の口からそう言われると、ものすごく恥ずかしい。

遠回しに、『俺のこと好きなんでしょ』と言われている気分だわ。


思わず目を逸らすと、シロは強い声で「美愛子」と呼んだ。

………なに、なに、ほんとになに。

なんで、こんなことになってんの。

どうして私は、シロの腕の中にいるの。


顔が熱くて、まともにシロの顔が見れない。

ゆっくりと彼に視線を合わせると、見覚えのある表情が見えた。


………あのときの、顔だ。


甘くて、それでいて意地悪な、私の知らないシロの顔。

赤い顔をした私を見て、彼はニヤッと笑った。



「…俺だって、同じだよ。ホットケーキだけは、特別。美愛子にしか、食べさせたことない」



心臓が、ぎゅ、と掴まれた。

私と同じくらい恥ずかしいこと言ってるはずなのに、シロは余裕たっぷりの顔をしていて。

私のほうが、ますます照れた。


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