モノクロ*メランコリック
「…な、によ」
「……いや」
シロは、優しく笑う。
子供の頃から変わらない雰囲気をまとって、安心できる心地をくれる。
私はそれにいつもほだされて、抗えなくなるのよ。
どんなに私がわがままを言って困らせても、シロには敵わない。
彼は長いまつげを伏せて、口を開いた。
「……美愛子のことは、なんでもわかるよ」
何年一緒にいると思ってるの、と彼が言う。
…そうね。シロには、全部お見通しだわ。
昔から、私の欲しいものは言わなくても伝わったし、足りない言葉はシロが補ってくれた。
私はまっしろなお皿を見つめて、「私だって」と言う。
スカートを、ぎゅっと握りしめた。
「シロのこと、大体わかってるもの」
「…大体、なんだ?」
「……全部。わかってるもん…」
くすくすと笑うシロに、頬を膨らませる。
…嘘。
全部なんて、わかるわけがない。
シロが考えていること、わかるときは確かにあるけれど。