モノクロ*メランコリック
…ほっぺ、ちゅー。
これが。
夢にまで見た、ほっぺチュー!!
ああ、卒倒しそう。
ニヤけを通り越して、もうこの世に悔いはないとさえ思える。
このまま死んでも構わないわ、私。
シロの唇の感触に身を浸しながら死ねるなんて、これ以上の幸福はないかもしれない。
そんな変態的な妄想に浸かっているうちに、竜崎くんはいまいち納得しきらない顔をして、私達の家の前を通り過ぎて行った。
…一体、家はどこにあるのかしら。
最近こちらへ引っ越してきたとかだったら、どうしよう。
…いいえ、今はそんなことより。
「ちょっとっ、シロ!」
何食わぬ顔で自分の家へ戻ろうとするシロのあとを、必死で追いかける。
また彼と一緒に彼の家のなかへ入って、玄関先で後ろからシロの服の裾をつかんだ。
シロは振り返ると、何事もなかったかのように「なに?」なんて訊いてくる。
なに?じゃないわよ!
「あ、あれでよかったの!?竜崎くん、完全に勘違いしちゃったわよ!私達が、つ…付き合ってるって…!」
自分で言って、照れてくる。
ほっぺチューといい、なんなの今日は。サービスデー?