モノクロ*メランコリック


「その…ほっぺにキスまで、する必要あったのかなって…」


思ったの、と小さな声で付け足す。

するとすぐに、玄関タイルの私の影と、もうひとつの影が重なった。

シロが、近い。

頭上から、また「嫌だった?」という言葉が聞こえた。

「…………」

「嫌だったんなら、ごめん。あのくらいやったほうが、効果あるかと思って」

絶対、謝る気ないでしょ。

悪いと思ってないはずだもの。

だって声色が、微かに笑ってる。


「…嫌じゃ、なかった」


そうポツリと言うと、フ、と笑う声が聞こえた。

「そっか」

そう言った声は、なんだか心なしか嬉しそうに聞こえて。

…私はまた、顔を赤くさせた。






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