モノクロ*メランコリック
「…さ、サンキュ。悪い、金はあとで…」
「いらないわ、私が勝手に買ってきたんだもの」
「……いや、でも」
「それ以上言うと殴るわよ」
「………」
まぁ、私の殴りなんて、竜崎くんにとっては痛くもかゆくもないでしょうけど。
竜崎くんはまだ納得のいかない顔をしながらも、お弁当を開けた。
パチン、と割り箸を割る音がする。
「…何かあったの?」
とりあえず、彼の隣に腰を下ろした。
よほどお腹がすいていたのか、竜崎くんは食いっぷりよくお弁当を食べていく。
「……おふくろが、昨日倒れた」
口をモゴモゴさせながら、竜崎くんは言った。
「……え」
予想してなかった重い言葉に、面食らう。
竜崎くんは「保育園から家に帰ったあとな」とお弁当へ目を落としながら言った。