モノクロ*メランコリック
「………っ」
りさが片手で、さりげなく携帯を出す。
私はそれを視界に入れながら、謎の男子たちに連れ去られたのだった。
*
「……………」
連れてこられたのは、ひと気の少ない通りの一角。
たぶん、さっきまでりさと歩いていた場所から、そんなに離れてないと思うのだけれど。
私はとりあえず、ふたりの大男に壁際へ追い詰められていた。
「…で、どうするよ、この子」
「やっぱアイツを苦しめるには、キスのひとつでもした方がいいんじゃね?」
なんか不吉な単語を発しながら、私の前で会話を繰り広げる彼ら。
アイツって…誰よ。
てゆーか、まずあんたたちは誰よ!!
「そうだなー、ここはひとつアイツを呼び出して、目の前でブッチューといっちゃうか」
「…ちょっと」
「いいな、それ。アイツの悔しがる顔が目に浮かぶ…」
「ねえ」
「そうと決まったら、仲間に連絡だ。アイツを呼ばねえと」
「話聞いてー!!」
大声を出すと、やっとこさ彼らはこちらを向いた。
その顔は『デカイ声出すな』と言っているようで、なんか怖い。