モノクロ*メランコリック
*第三話
憧れのお姫様
幼い頃の私は、まっしろなお姫様だった。
ありのままに振る舞うことしか知らない、純粋な子供だった。
暴君で世間知らずで、いつもわがままばかり言っては、よくシロやりさを困らせる。
それでも周りは許してくれると、自惚れていた。
私が私のことを可愛いと思ったら『可愛いでしょう』と自慢気に言っていたし。
『可愛くないわけがない』と言って、同意を求めてみたりもした。
世界は何があっても私に優しくて、なにがあっても私を守ってくれると思っていた。
みんな私のことを可愛いと思ってくれていて、隣にはシロとりさがいて。
周りは笑顔で溢れている。
…それがいつまでも続く日常だと、信じて疑わなかった。
だから、私はそのときが来るまで気づかなかった。
いつものように綺麗なドレスを着て、愛らしく裾を揺らす。
そうして鏡から振り返って見れば、そこにあったのは人々の呆れた顔やうんざりした顔だった。
それまで当たり前のように存在していた、手を叩いて私を褒めちぎってくれるひとも、声も、ある日突然に消えてしまった。