モノクロ*メランコリック


私はそのとき、初めて知ったのだ。


その世界には、『建前』と『プライド』が存在していて。

ひとは自分のそれを傷つけてくるものに、全く容赦がないのだと。


信じられなくて悲しくて、私は泣いた。


私はひとりぼっちなんだと言って、独りよがりに泣いていた。

嫌われ者のお姫様だと、嘆いた。


…それでも。

隣には変わらず、シロとりさがいてくれて。



そのままの私でいいと言ってくれたから、私は今こうしていられる。



愛されるために笑い、泣く。

そういう表情の使い方を知って、まっくろになってしまった今でも。


まっしろだった私は変わらず、私のなかに存在してる。


まっしろだった頃の私を知っているひとがいて、それを受け止めてくれるから。

だから私は安心して、まっしろなフリができるのだ。







「はーい。では、来月に迫った文化祭の出し物について、話し合いたいと思いまーす」



前に出た学級委員が、黒板にでっかく『クラス劇について』と書く。

私はその文字を、机でぼうっと頬杖をつきながら眺めていた。


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