モノクロ*メランコリック
私はそのとき、初めて知ったのだ。
その世界には、『建前』と『プライド』が存在していて。
ひとは自分のそれを傷つけてくるものに、全く容赦がないのだと。
信じられなくて悲しくて、私は泣いた。
私はひとりぼっちなんだと言って、独りよがりに泣いていた。
嫌われ者のお姫様だと、嘆いた。
…それでも。
隣には変わらず、シロとりさがいてくれて。
そのままの私でいいと言ってくれたから、私は今こうしていられる。
愛されるために笑い、泣く。
そういう表情の使い方を知って、まっくろになってしまった今でも。
まっしろだった私は変わらず、私のなかに存在してる。
まっしろだった頃の私を知っているひとがいて、それを受け止めてくれるから。
だから私は安心して、まっしろなフリができるのだ。
*
「はーい。では、来月に迫った文化祭の出し物について、話し合いたいと思いまーす」
前に出た学級委員が、黒板にでっかく『クラス劇について』と書く。
私はその文字を、机でぼうっと頬杖をつきながら眺めていた。