モノクロ*メランコリック
私はシロに台本を返すと、彼の隣にトンっと腰掛けた。
自分のクラスの台本をペラペラめくって、ニコニコ笑う。
「ふふふふ」
「嬉しそうだね」
「だってお姫様よ?お姫様。嬉しいに決まってるわ」
私を見て、シロが優しく笑う。
この空気感がすごく心地良くて、私も目を細めた。
…クラスは違うけど、お姫様と王子様だし。
お互いに相手役がいるのが悲しいわね。
…そうだわ。
「シロ、台本の読み合わせしましょう」
立ち上がって言うと、シロは『え?』という風に眉を寄せた。
「練習明日からでしょ?」
「練習の練習よ。スラスラ読めるようになりたいの」
私は見栄っ張りだもの。
やっぱり主演だし、しっかり読めていた方が格好いいじゃない?
…っていうのは、建前として。
実際は、シロとお姫様と王子様の役をしたいだけだけど。
本番にできないんだもの、今くらいいいじゃないの。