モノクロ*メランコリック



「『…王子様?どうして』」

「『あなたを迎えに来ました』」



ドキン、ドキン、と心臓が鳴る。

きた、きた、きた…!


落としたガラスの靴は、シンデレラの足にぴったりとはまって。

王子様は、顔を上げる。


私をまっすぐに見つめて、彼は言った。



「『…あなたが、好きです。僕の妃になって下さい』」



ーーーバサッ。


あまりの衝撃で、持っていた自分の台本を落としてしまった。

………な、な、なん、なんで。


なんでその台詞だけ、目を見て言うのよーー!!


拾おうと、しゃがむ。

顔が熱くて悔しくて見上げると、シロは舌を出して意地悪な顔をしていた。


こんの確信犯ーー!


ますます恥ずかしくなってきて、誤魔化そうと言葉を探した。

台本はまだホッチキスで留めていないから、床にバラバラに散らばっている。


馬鹿、馬鹿、シロの馬鹿!

ずるいずるいずるいーー!!


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