モノクロ*メランコリック


悔しくて悔しくて、紙を拾いながら口を開く。


「…ま、まだまだね、シロ。ぜんっぜん心がこもってないわ。ほら、こういうのはアレよ。好きな子を思い浮かべながら言わなきゃ」


思わず台本を落としちゃうくらい動揺させられたってのに、何を言うのかしら私は。

負け惜しみってやつね。でも悔しいんだもの。


「ああでも、シロは好きな女の子なんて、いないんだったわね。残念」


……このくらい言ったって、許されると思うのだけれど?


すると、頭上から静かな声が聞こえた。



「……それ、本気で言ってる?」



……え?


顔を上げて、シロを見上げる。

彼は何故か、寂しそうに笑っていた。

その表情には見覚えがある気がして、戸惑う。


シロは、まるで自嘲するような声色で、言った。



「…俺に好きな子なんかいないって、本気で思ってる?」



ドキ、と。

心臓が、痛いくらいに大きく脈打った。

まるで、心の中を見透かされたみたいな、気分。



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