モノクロ*メランコリック


「…………」

「し、シロ、えと、ごめ…」

「俺が、さ」


え?

この体勢のまま、シロは口を開いた。

驚いて、思わず喋るのをやめる。


シロはその綺麗な瞳で、私をまっすぐに見つめてくる。

笑うわけでもなく、悲しむわけでもなく。

ただただひたすらに、私だけを見てる。

……その目はなんだかいつもと違っていて、私の心臓はさらに跳ね上がった。



「…本当に隠し事をするためだけに、美愛子に『彼女のふり』なんか頼んだと思ってんの?」



優しく、それでいて辛そうな。

けれどどこか、甘い瞳。


目を見開く私の頬に、シロの手がそっと触れる。

なぞるように滑っていく彼の長い指は、少しだけ熱を持っていた。



『……他に好きな子でも、いるの』

『いたら、美愛子に彼女のフリなんてさせてないよ』


……竜崎、くんに。

隠し事を、するためだけに…

そうじゃないと、したら。



彼の瞳が、眉を寄せて細められる。

苦しそうな表情が、私の目に焼き付いた。



「…俺に『好きな子』がいるとしたら、…そんなのもう、わかりきってるだろ?」



彼の瞳に、私が映る。

…ねえどうして、そんなに辛そうな顔をするの。

どうして、諦めたように笑うの。


…どうして、どうして…




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