モノクロ*メランコリック
「うん。ヒマだよ〜」
「ほんとっ?じゃあさっ、ちょっと頼まれてくれない?今からグラデーション塗るんだけど、乾かない内にぼかしてなじませたいから、ここから離れられなくて」
なにやら、熱く主張してくる絢ちゃん。
彼女は美術部だから、私にはわからないこだわりがあるのかもしれない。
教室の後ろの方では大きな紙を広げられていて、背景係達が話し込んでいる。
ぼかしてなじませる…なんかとりあえず、綺麗なグラデーションになりそうね。素敵だわ。
「いいよー、もちろん。何したらいいの?」
「ありがとー!えっとね、四組に行って来て欲しいんだ」
四組、という言葉に、ドキリとする。
…シロのクラスだわ。
絢ちゃんが、私へビニール袋を手渡してきた。
その中には、絵の具のビンが入っている。
「それ、四組から借りてきたんだ。もう使わないから、返してきて欲しいの」
「…わかった。誰に渡したらいいの?」
「えっとね、進藤くんに」
私は一瞬、耳を疑った。
…えっ。
今、絢ちゃん、進藤くんって言った?