モノクロ*メランコリック
私は緊張を悟られないよう頑張りながら、彼にビニール袋を差し出した。
「…これ。ありがとう」
彼はビニール袋の中身を確認すると、「ああ、うん」と納得したようだった。
「……………」
ち…沈黙がつらい。
彼の顔が、見れない。
早くこの場から逃げ出したくて、私は「じゃあ、これで」と言った。
彼に背を向けて、去ろうとする。
けれど、できなかった。
……パシ、と。
突然、腕を掴まれて。
驚いて振り返ると、それは彼の手だった。
目を見開いて、彼の顔を見る。
私はそのとき、あ、と思った。
……また。
あの、寂しそうな顔。
それは、『進藤くん』の顔ではなくて。
私は思わず、呼んでしまった。
「……シロ………?」
…彼の目が、見開かれる。
私も自分が発した言葉に気づき、慌てて口をつぐんだ。