モノクロ*メランコリック


「………っ」


だめ、だめ、だめ。

ここは学校で、私は『ミアちゃん』。

『進藤くん』とはクラスも違う、大して親しくもない間柄で。

…だから、だめ。


今すぐ『シロ』と叫んで、彼のもとへ走って行きたいなんて。


思っちゃ、だめなのよ。






その日の放課後。


「あ、ミアちゃん。ちょっと待って」


りさと帰ろうとしたとき、クラスの女子に呼び止められた。


「なぁに?」


クラスのなかでも、だいぶ派手な方の女の子である花凛ちゃん。

赤っぽい髪色の彼女は、私の前まで来るとニコッと笑った。


「明後日…金曜の放課後って、ミアちゃん空いてる?」

「金曜?うん、空いてるよ」


今週の金曜日は、先生達の職員会議が放課後にあるとかで、終礼の時間が早いのよね。

私は部活に入ってないから、いつもと変わらず家で過ごそうと考えてたんだけど…


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