モノクロ＊メランコリック

怒りを顔に表したくなったけど、ここは我慢。

穏便にやり過ごさないと、これからが面倒だわ。


そう思って、身を固くしていたら。


ーーー〜〜♫〜♪〜…


私のスマホから、着信音がした。

…えっ。この音って…


「…出ていいよ、ミアちゃん」


私が電話に出るのを遠慮していると思ったのか、澤野くんは今にも舌打ちしそうな顔でそう言う。

私は、着信音に驚いただけなんだけど…

でも、どうして『この人』から？


なにはともあれ、私は電話をするために、ここから離れることができる。

澤野くんから解放されて、ホッとした。


スマホを持って、席を立つ。

扉を開き個室の外に出て、スマホ画面を見た瞬間、コール音はブツリと切られた。

驚いていると、今度はすぐにメールが届く。

それはシロからで、今度は少し長めの文章だった。



【一緒に帰るから、美愛子は先に出て、近くの喫茶店かどこかで待ってて。今の電話を親からってことにして、迎えが来てるって言えばいい】


……そう。

実はさっきの電話は、シロからだった。

好きな人からの着信音は、オンゴールの可愛らしいやつに登録するっていう、結構乙女なことしてるのよ、私。