モノクロ*メランコリック
『好き』、だけど
暗い夜道を、ふたりで帰る。
一応、人通りの少ない道を選んで歩いた。
シロは何故か、ずっと私の一歩前を歩いていて。
…何に怒ってるの?
私がカラオケを出たあとに、何かあったの?
歩きはじめて十分ほどしたところで、私は不安に駆られた。
「…し、シロっ」
彼のブレザーの裾をつかんで、引き止める。
驚いた顔をしたシロが、振り返った。
「……な、なんか、怒ってる?」
「……え」
「ずっと、私の顔見ようとしないじゃない」
すると、シロは「…ごめん」と素直に謝ってきた。
けれど、なんだかその顔は怒っているというより、傷ついた感じで。
この前、腕を掴まれた時の彼の顔を思い出す。
…なんでよ。
なんでまたそんな顔、するのよ。
「シロ」
再び歩き出そうとする彼を、止める。
街灯が、私達の下に影を落としていた。