モノクロ*メランコリック
彼はぎゅっと手のひらを握りしめて、絞り出すように声を出した。
「…これ以上美愛子といると、触れたくなる。幼なじみなんか越えて、もっと」
……そんな、言葉にも。
普段の私なら、喜んでいたと思う。
けれど、あのとき触れられた頬が熱くて、どうしようもなくて。
胸が苦しくて、ただそれだけだった。
シロへの愛しい想いが今にも爆発しそうで、たまらなかった。
「……私……」
気づけば私はシロを見つめて、口を開いていた。
「シロのこと、好きよ」
口から零れ出るとは、まさにこのことだろうと思った。
十年以上彼に恋をして、何度も何度も焦がれて、それでも言わずにいた言葉。
こんなときに、言うためのものじゃなかった。
だけど今言わなきゃ、一生言えないと思った。
今言わなきゃ、彼はきっとこの先ずっと、この想いを正面から受け止めてはくれない。