モノクロ*メランコリック
シロは私をまっすぐに見つめて、そして優しく穏やかに、「うん」と言った。
「……知ってる」
細められたその瞳は、とても嬉しそうで。
…それでいて、切なそうで。
私はぎゅっと目を閉じて、今まで何度も思ってきたことを、声に出した。
「…私たぶん、シロのことが世界一好きよ」
「うん」
「彼女になるのも奥さんになるのも、シロじゃなきゃ嫌よ」
「…うん」
ひとつひとつ噛みしめるように、彼は相づちを打った。
そして、すごく自然に、「俺も」と言う。
「俺も、美愛子が好きだよ」
本当に愛おしそうに私を見つめる、彼の瞳。
私の瞳にも、じわりと涙がにじんだ。
…私達は、きっとずっと、お互いだけを想いあっていたけど。
どこか肝心なところが重なっていないことも、感じていた。
彼の中に、私にはわからない、何かが引っかかっていることも。
シロのことが、好き。
大好き、だけど。
……でも、それだけじゃダメなんでしょう?