モノクロ*メランコリック
彼らの前を通り過ぎると、後ろから話し声が聞こえた。
「ミアちゃん、今日もカワイー。やべえ、天使。まじでお姫様」
「な。純粋そうな感じがたまんねー」
同じく話し声が聞こえてきたのか、りさは私を見て呆れたような顔をしてくる。
フッ、なーによその目。りさったら、ちゃんと聞いた?お姫様ですってよ。
私は鍛錬を重ねて手に入れた、ドヤ顔に見えないドヤ顔で笑った。
姫宮美愛子(みあこ)、十五歳。
通称ミアちゃん。この学校の、可愛い可愛いお姫様。
ふわふわの長い黒髪と、愛らしい顔立ち。
優しい雰囲気と、思わず抱きしめたくなるような、ふんわり笑顔。
百四十七センチっていう身長は、私の意図するところではないのだけれど。
それが、私。
天使で可愛くって優しい、お姫様!
「おはよう、ミアちゃん」
教室につくまで、男女問わずたくさんの人から声をかけられる。
この学校に入学してまだ五ヶ月だけれど、いつの間にか私の存在は学年内に広まっていて、今や他学年にも知れ渡っているらしい。さすが私ね。