モノクロ*メランコリック
「笹原くんは、普段から軽いもん。信じられない」
「ひっでー。そんなことないって。ホラ、王子役の俺と白雪姫のミアちゃんが一緒にいればさ、宣伝にもなるじゃん?」
「まーた最もらしいこと言って」
「拗ねんなって!」
拗ねてないし。
いくら言われようと、あなたと回る気はないわ。
澤野くんといい笹原くんといい、どうしてこうもチャラい人って、しつこいのかしら!
「とにかく、笹原くんとは回りませんっ。諦めて下さい」
ふいっと顔を背けて、台本を持つ。
すると、笹原くんが私の背中に身体を寄せてきて、「本当だって」と言ってきた。
「劇の練習一緒にやってて、なんか惚れちゃった。マジだよ?」
私にしか聞こえないような、小声で。
そう囁いた、笹原くんを見上げる。
…彼の手は、何故か私の腰に回っているし。
その目はなんだか怪しく光っていて、少し怖かった。