モノクロ*メランコリック
「でもいざ話しかけられると、『シロ』全開でミアをいじめちゃって、『白馬の王子様』が崩れちゃうものね」
「…わかってんなら、言うなよ」
「だって面白いんだもの。つくづくあたし達三人って、性格曲がってるわよねー」
…陰、というか結構公に、自分が女子達に『王子様』なんて言われて騒がれてるのは知ってる。
別に、女子達に騒がれて気分がいいとか、そういうのじゃない。
ただ美愛子が、そういう俺を信じてるからだ。
…まっしろな王子としての俺が、好きだからだ。
「ミアは猫かぶりだけど、あたし達に比べたら純粋だものね」
りさが目を細めて、窓の外を見る。
彼女も、何か思うところがあるんだろう。
「昔から、優しくて穏やかな『シロ』が大好きで。…あんたがその裏側で何考えてるのか、知らないまま」
…俺が、まっしろな顔の裏で、考えてること。
美愛子を『美愛子』と呼べるのが、この先ずっと俺だけであればいい、とか。
美愛子が『本当の姿』で話せる男も、俺だけであればいい、とか。
…まあそれは、この前竜崎くんによって、叶わぬ願いになったけど。
美愛子の『好きなひと』が、永遠に俺であればいい、とか。
他にも人には言えないような、独占欲丸出しのまっくろな願いが、俺の中を埋め尽くしてる。