モノクロ＊メランコリック

「だからミアには手を出さないって、決め込んでたんでしょ？でもミアが告白まがいのことをしちゃったから、あんたも意識せざるを得なくなって」


美愛子が、たぶん勢い余っていってしまったこと。


『…シロのホットケーキ、他の女の子が食べるの、やだ………！』


あれからだ。

俺の中で、抑えていた色んなものが、溢れてきた。


好きな子にあんなにもハッキリと恋情を向けられて、冷静でいられるほど俺は強い男じゃない。


いじめたら、顔を真っ赤にして怒るし。可愛いし。

頬にキスしてみたら、なんか素直に『嫌じゃなかった』とか言うし。


あれで我慢しろっていう方が、無理な話だ。俺は悪くない。


だから、突き放そうとした。


『もう家に来るな』って、言った。

もちろん、美愛子が傷つくことはわかった上で。


我ながら、自分勝手だ。

美愛子に好きだって言っといて、最後には拒絶してる。

嫌われたかもしれない。


もしも付き合ったとしても、俺のまっくろな中身を見たら、いくら幼なじみでも幻滅するかもしれないし。


それで別れるくらいなら、今このまま嫌われた方がマシだ。